私は、早稲田の建築学科を卒業して、アメリカの大学院に留学しました。 今の仕事でも、ヨーロッパや中国の建築学科を卒業した方の大学のお話を伺ったりします。 そのため、どういう学校が建築の教育に効果的か、自分なりの意見を持っています。 今日は、その経験から、 建築大学...

建築大学院の選び方

 
私は、早稲田の建築学科を卒業して、アメリカの大学院に留学しました。

今の仕事でも、ヨーロッパや中国の建築学科を卒業した方の大学のお話を伺ったりします。

そのため、どういう学校が建築の教育に効果的か、自分なりの意見を持っています。

今日は、その経験から、建築大学院を選ぶ際に気をつけたいポイントを紹介します。

これから国内の大学院を受験する方や、海外の建築大学院に留学したい方に役立てて頂ければと思います。

ようこそ建築学科へ


1.先生と生徒の比率

建築学科がユニークな点は、一人一人の案には、違ったコンセプトがあって、プレゼンスタイルも違うことです。

なので、1人の先生が指導できるのは、一学期に20人が限界でしょう。

1学年に150人学生がいて、担当の先生が決まっていない場合は、確実にいい指導は受けられません。

私の大学でも、先生からコメントを頂けるのは、毎学期数人だけでした。

一方、大学院では、12人の学生に対して、一人の先生が週3日はつきっきりでした。


2.担当の先生がはっきりしている

設計授業が、「少人数のスタジオ制」の学校の方が有利です。

一つの設計課題が終わるまで、一人の先生が同じ学生を指導するシステムのことです。

最後まで一貫した意見が頂けますし、講評会で他の先生から頂いた様々な意見を、整理するのを手伝ってくれます。

一方、先生が数人教室を自由に回りながら指導するシステムだと、いろんな人の意見がごちゃまぜになって混乱するでしょう。


3. 建築設計に必要な設備を揃えてくれる

建築学科で必要な道具は、他学科とは比べ、かなり多い。

各学生が自宅で揃えるのは経済的に負担が大きいし、そもそも自宅にスペースがありません。

学校がある程度、設計道具を揃えてくれないと困ります。

学校に揃えて欲しい設備を挙げると:
  1. 最先端の設計ソフトをフル回転させてもフリーズしない高性能なパソコン。もちろん、必要な設計ソフトはインストール済。
  2. レーザーカッター
  3. 木工室、3Dプリンター、撮影スタジオがあればなお可

「ないと建築は作れない」とは言いませんが、学生のモチベーションが違うでしょう。


4. 都市部の大学である

大学が都市部にあると、教師陣やイベントが豊富です。

ゼネコンで現役で働く方がゲスト講師に来て、最新のプロジェクトついて、教科書にはない裏話を教えてくれたりします。

一方、田舎の大学は、たまたま有名な建築会社と同じ都市にあればいいのですが、でないと、実践の場で働く方がレクチャーに来る頻度は減るでしょう。

建築にとってはけっこう致命傷だと思います。

しかし、田舎の大学は家賃が安い分、上ので紹介した設備が揃う傾向があります。


5.有名教授が多い場合、実際は誰が教えるのかをチェック。

講師陣に有名教授が多いと、エスキスは大学院生のTAや、助手に任せることが多いです。

そうなると、実務で役立つ意見を貰える可能性はぐーんと低くなります。実際に設計課題を教えくれる方の経歴はチェックしておきましょう。


6.有名大学は就職に有利

色々話ましたが、

偏差値が高い大学は、どんなに教育がゴミでも、就職に有利です。

有名な先生の推薦状はやはり効果的ですし、有名企業に先輩も多いので、いざと言う時に助けてくれます。

企業内に予め就職枠が確保されている大学も多々あります。

そのため、どんなに悪い噂を聞いても、有名大学に入って損はないでしょう。世の中とはそういうものです。



いかがですか?学校の体制は常に変わるので、具体的な大学の名前を出すのは避けました。

全ての条件を満たす大学は少ない、というか「ない」かもしれません。大事なのは、自分にとって何が重要かを吟味しながら取捨選択することです。

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