建築家もある程度都市計画の知識が必要。 早くマスターするには、都市計画の王道パターンはおさえておきましょう。 現代は複数スタイルのハイブリッドが主流で、プロジェクトに合わせてベストミックスを見つけるのがコツですね。例えば、小規模住宅ならニューアーバニズム+エコ、駅前ならTOD+ス...

サクッと覚えられる!建築家が知っておくべき都市計画スタイル

 

建築家もある程度都市計画の知識が必要。

早くマスターするには、都市計画の王道パターンはおさえておきましょう。

現代は複数スタイルのハイブリッドが主流で、プロジェクトに合わせてベストミックスを見つけるのがコツですね。例えば、小規模住宅ならニューアーバニズム+エコ、駅前ならTOD+スーパーブロック、みたいな感じで。


まず押さえておきたい建築家のための都市計画必読書3冊

1. 入門 都市計画 

建築家向けの都市計画入門書として定番。制度の解説より考え方と事例に重点を置いているので、実践的な知識が身につきます。クライアントへの説明時に「なぜこの配置なのか」を理論的に説明できるようになりますね。

2. よくわかる最新都市計画の基本と仕組み 

実務者向けに書かれた参考書。建築士が実際に現場で使っている一冊です。制度から実践まで網羅的にカバーしているので、手元に置いておくと重宝します。

3. 都市計画学: 変化に対応するプランニング 

理論と実践のバランスが絶妙。現代の複合的なアプローチ(ニューアーバニズム+エコなど)を理解するのに最適な一冊です。


1. グリッド - 王道のチェス盤スタイル


アメリカのデトロイト、ニューヨークでお馴染みのチェス盤パターン。土地の売買も楽だし、緊急車両もスイスイ通れる。最近はヒートアイランド対策で街区に小さな公園を入れたり、自転車レーンを作ったりしています。クライアントへの説明が超楽。

2. 迷路みたいな自然発生都市

フェズとか京都の街みたいに、誰かが計画したわけじゃなくて時間をかけて自然にできた街。くねくね曲がった道が日陰を作ってくれるし、中庭を中心にした住宅がまとまってて、歩きながら買い物もできちゃう。今は街区番号をつけたり、LED照明を地下に通したりして現代仕様に。観光地としては最高に魅力的だけど、インフラ整備は結構大変。歴史的な街区をリノベするときは、この有機的な配置を理解してないとダメ。

3. バロック - 権力の見せ場、放射状デザイン


パリのシャンゼリゼやワシントンDCのように、中心から放射状に道路が伸びる。宮殿や重要建物を中心に据えて、そこから見通し線でドーンと道路が広がっていく。円形の広場で交通をさばいて、並木でキレイに統一。今は環状の電車や自転車道が加わります。日本の既存市街地だとこんな大胆な軸線は難しいけど、部分的に使うのはアリ。

パリの都市計画を勉強したい方は、こちらの本がおすすめ:15分都市の実践 世界に学ぶ地球規模の課題解決

4. ガーデンシティ - 職住近接の理想郷

住宅・産業・農業がセットになった自立都市。1898年にエベネザー・ハワードが「これが理想!」って提案。人口5万人で、緑地帯で都市拡散をブロック、どこからでも5分で公園に行ける。今はソーラー付き住宅と電車でつないで。多摩ニュータウンなどの日本のニュータウンもこの考え方を参考に。郊外の住宅地を再生するときにも使える理念。

参考図書:
新訳 明日の田園都市:ガーデンシティの原典。2016年に新訳が出て読みやすくなりました。多摩ニュータウンなどの計画背景を理解するのにも必須です。


5. 輝く都市 - コルビュジエ提案の未来都市

高層建築+緑地のコンボ。ブラジリアで実際に作られました。1階をピロティで開放して、高層でガッツリ密度を上げて、まわりに大きな緑地。今は1階にカフェや商店を入れたり、自転車道を作ったり。1階部分をどう活用するかと歩行者レベルの魅力づくりが勝負どころですね。

参考図書:

輝ける都市(ル・コルビュジエ著、白石哲雄訳) コルビュジエの都市論代表作が2016年についに初邦訳!高層建築+緑地のコンボ理論の源流がここに。ブラジリアの計画背景も理解でき、現代の高密度開発プロジェクトで「1階をピロティで開放」の根拠を説明するときに威力を発揮します。

6. スーパーブロック - 歩行者天国

バルセロナで実際にやった計画。「9つの街区をまとめて内側を歩行者天国にしちゃう」という作戦。車は外周道路に集めて、中は歩行者と自転車だけ。騒音も排気ガスも減るし、地域のお店の売上もアップ。実際に空気がキレイになって、子供の遊び場も増加。日本の住宅地でも交通を静かにするのに使えそう。ただし住民の合意がないと始まらないのが現実ですね。

参考図書:
バルセロナの都市計画については、こちらの本がおすすめ:バルセロナ旧市街の再生戦略―公共空間の創出による界隈の回復

7. TOD - 駅チカ高密度

日本の駅前再開発でも定番。香港とかシンガポールでよく見る、駅から歩いて5-10分のところに、高密度で住宅・オフィス・商業をまとめる手法。車に依存しなくて済む。24時間動いてる複合施設で、バリアフリーもバッチリ。混合所得の住宅で社会統合も狙う。地方都市のコンパクトシティ政策の切り札。

参考図書:
持続的な都市のための公共交通指向型開発(TOD)の計画と実装  TODの実践マニュアルとして最も包括的。日本の事例も豊富で、地方都市のコンパクトシティ政策を理解するのに最適です。駅前再開発の提案で「なぜ高密度にするのか」を論理的に説明できるようになります。

8. ニューアーバニズム - 昔の良い街を現代風に

フロリダのシーサイドから始まった「昔の歩きやすい街を復活させよう」運動。小さな街区に前庭付きの家、歩いて行ける商店街、狭い道で車をゆっくりに。通勤が遠くなっちゃう問題とか、いろんな所得の人が住めるような工夫とかが課題。日本の住宅地でもヒューマンスケールの街づくりは大事だし、特に子育て世代には魅力的。

9. 自動車指向型郊外 - 車社会の申し子

戦後アメリカスタイルの車ありきの住宅地。曲がった道路に袋小路、でっかい駐車場、用途別にキッチリ分けたゾーニング。歩くにはちょっと不便。今は後から自転車道をつけたり、バス専用レーンを作ったり、角っこにカフェを誘致したりして改良中。

10. エコ - 地球に優しい

ストックホルムのハンマービー・ショースタッドみたいに、環境技術を普通の生活に溶け込ませた街。湿地で雨水処理、透水性の舗装、ソーラー街灯、廃熱利用システム。リアルタイムでデータを見せてくれるし、環境学習もできちゃう。今の都市開発では必須の考え方。建築単体でも、こういうエコ技術を入れるのは他との差別化になりますね。


11. メガブロック - 超高密度の垂直都市

シンガポールのピナクル・ダクストンみたいに、でっかいベース部分の上に住宅をドカンと乗せるスタイル。地下と低層階に駐車場と商業をまとめて、屋上に公園と運動施設を配置。地上の賑わいと歩行者空間をどう魅力的にするかが腕の見せ所。アジアの高密度都市では当たり前だし、日本の都心再開発でも増えてますね。

12. インフォーマル - 計画なし自力建設集落


ムンバイとかリオの、正式な都市計画なしに自然発生した高密度住宅地。家族の懐具合に合わせて少しずつ建て増ししていく。狭い路地で商売も活発だし、コミュニティの結束も強い。上下水道を後から整備したり、法的な権利をハッキリさせたり、道路を測量して地図を作ったりの改良が進行中。

13. リニア - 一直線の都市

都市を一本の線にしちゃう実験的手法。スペインの1882年計画やサウジのNEOM、鉄道や幹線道路に沿って線状開発、住宅・職場・公園を層状に配置。土地の使い方は効率的で移動時間も短縮できるはず。でも自然採光の確保とか、避難経路の設計とか、建設コストが課題。現実的な規模での成功例はまだ少ないけど、交通と都市の関係を考える上では重要な概念ですね。

14. ポリセントリック - 多核心ネットワーク都市

ストックホルムのABC郊外とか中国の珠江デルタみたいに、複数の自立した都市を電車で結ぶネットワーク。住宅・職場・都心を分散配置して、各衛星都市が自立。信頼できる電車と、フェーズに分けた計画開発が成功の条件。現代の大都市圏計画では一番現実的なアプローチで、日本の首都圏でも進んでますね。

 
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