建築の課題や卒業設計で、山や丘陵などの斜面に建築を設計する場合、大変ですよね。私自身も学生時代、等高線の読み方や模型づくりでかなり苦労した記憶があります。
今回は、「斜面に建築を設計するために知っておくべきこと」を紹介します。
1. 地形との向き合い方
建物と等高線の関係は重要です。
垂直に配置する場合、以下のような平面・断面図になります。
この配置は、地形の傾斜に対して大規模な手を加えずに済む一方で、地形に対してやや無関心な態度とも捉えられがちです。小規模な建築や、建築全体の一部としてこの構成を取り入れることは有効ですが、大規模な建築では慎重に検討する必要があります。
一方、建築をいくつかの部分に分節し、等高線に沿って水平に配置する方法もあります。
この方法も地形への造成が少なく、自然環境に調和しやすい特徴があります。代表例として、SANAAが設計した「Grace Farms」が挙げられます。
ただし、欠点としては、1階から最上階までを結ぶ直通のエレベーターを設置しにくい点が挙げられます。設計課題ではそこまで気にしなくてもよいかもしれませんが、実務ではバリアフリー対応との兼ね合いが重要になります。
3つ目のアプローチは、建築自体を地形に埋め込む方法です。
代表例は、ザハ・ハディドが手がけた「Messner Mountain Museum Corones」です。
この美術館は山頂の地形に埋め込まれるように配置され、来訪者は高所から入館し、ゆるやかに地下へ降りてテラスに至るという独特な体験を得られます。
視覚的にもドラマチックで、「自然と一体化する」ことを目指した建築の好例と言えるでしょう。