アメリカの建築学科へ留学するメリットとデメリット

私は、早稲田大学の建築学科を卒業した後、アメリカでトップ10に入る建築学科に大学院で留学しました。その時、日本との違いが大きすぎて、かなりびっくりしました。

そこで今日は、アメリカ建築学科に留学するメリットとデメリットを紹介します。

全ての大学が同じシステムではないので、「日本の大学だけと、アメリカと同じシステム」ということも十分ありえるでしょう。

ただ、大部分に当てはまる話なので、留学しようか迷っている方には役立つかと思います。

メリット1:少人数のスタジオ制

アメリカの建築学科では、研究室に属さず、毎学期違う先生を選べます。

毎学期の最初に、先生が自分の授業内容を全学生に向けてプレゼンします。学生はそれを聞いてから、学期ごとに先生を選択できるのです。

こうすることで、

デジタルファブリケーションでパビリオンを作る先生、

最初の二ヶ月は図面を一切描かず、ひたすら粘土をこねさせる先生、
プレハブ住宅専門の先生、
毎週ニューヨークから飛行機で来る若手建築家など、毎学期ユニークな先生に出会えて、かなり刺激的です。

先生が決まったら、週三日「Studio」という設計授業があります。

毎回3時間、先生はずっと教室にいて、エスキスをしてくれます。一人の先生につく生徒数は10人くらいの少人数制なので、必ず皆が先生と話せます。

日本のように、「最近先生と話したことないね」ってことはまずありえません。

メリット2: 設計以外の授業も計画的

設計以外も、照明や音声など、建築関連の授業が、日本よりきっちりと計画されて行われます。

授業の一番最初にレジュメが配られるのですが、毎回の授業内容、ゲストスピーカーまで計画されており、きちん目的を持って授業が計画されていることが分かります。

アメリカは学期末には、学生が教授に点数をつけるので、先生も気が抜けません。

メリット3: 大学の設備がそろっている

建築学科は、かなり設備を必要とする学問です。

アメリカの建築学科ランキングでトップ10に入る大学なら、

あらゆるデザインソフトが入ったパソコン室を始め、レーザーカッター、写真撮影室、木工室、プロッターなど、全て自由に使えます。

これらの設備があるとないとでは、ポートフォリオの出来に天と地の差が出るでしょう。

アメリカのいい大学は学費が高いうえ、お金持ちが寄付をするので、いい大学はかなり潤っているのです。

メリット4:英語は大きなアドバンテージになる

日本で就職して英語ができると、国際コンペで最後にプレゼンできたり、重要な役職の方に逢えるので、ある意味「美味しいところ」を持っていけます。

特に女性は体力的に男性に負けるので、語学力はけっこう武器になります。

ここからはデメリット。

デメリット1:忙しさで瀕死状態になる

アメリカの大学は日本よりかなり忙しいです。週6.5日間は学校で課題をやるので、学期中は建築に人生を捧げることになるでしょう。

毎週三回も先生とエスキスをするので、案を常に考えなければいけませんし、その他の授業でもリーディングやエッセイの宿題が出されます。

英語でのプレゼンも多々あるので、留学生は余計忙しいでしょう。

しかも、「主要科目でB以上とらなければ単位を落とす」など、設計授業以外でも気が抜けません。

日本のように「週三日だけ大学に行けばいい」なんてことはまずありえません。

幸い、アメリカは夏休みがかなり長いので、学校にいる期間は実質毎年7ヶ月ほど。

また、「ついて行けない」と思ったら、ゆっくり単位をとればいいのです（卒業に時間と費用が余計にかかりますが）。