個人住宅はクライアントがないとデザインしにくいと思いますが、 今日は、卒業設計や、学校の課題で使える一戸建て住宅の設計コンセプトと事例を紹介します。

一戸建て(個人住宅)の設計コンセプトと事例

 

個人住宅はクライアントがないとデザインしにくいと思いますが、

今日は、卒業設計や、学校の課題で使える一戸建て住宅の設計コンセプトと事例を紹介します。

 一戸建て設計前に読んでおくべき本

学校の課題で、一戸建ての課題が出されたら、まず「世界で一番楽しい建物できるまで図鑑」を読んでください。

マスターすると、「図解アトリエワン」のような図面が描けるようになります↓




拡大図↓



これは矩計図と呼ばれる図面で、施工や構法の知識がないと描けません。

世界で一番楽しい建物できるまで図鑑」は、木造編、RC造、S造に分かれていて、住宅を建てる手順、どこに防水処理が必要で、どんなサイズのタイルが一般的か、どこに断熱材を入れるべきか、、、

などの建築の構法や構造に関する知識が、分かりやすいイラストと言葉で説明されています。

全て読み終わると、住宅が一通り設計できるはずです。

建築設計を続けていくと、こういうディテールの重要さを痛いほど思い知らされるでしょう。


コンセプト1. 職住一体住居を作ってみる

職住一体とは、「仕事場にもなる自宅」のことです。

英語で、Live/work Housingと言ったりします。コロナで重要度が増しましたよね。

職住一体住居では、プライベートと仕事場をいかに分けるのが設計のポイントです。

例えば、永山裕子さん設計の「勝田台のいえ」。3階建てで、1階がお店、2と3階が住居です。


住宅のボリュームをお店の上に浮かせることで、職住を分けています。



また、コルビジェ設計の「クルチェット邸」は、お医者さんのためのクリニックを兼ねた住居です。


断面から分かるように、中庭を使って、プライベートとパブリックをきれいさっぱり分けています。



コンセプト2. 日本の伝統家屋をアレンジしてみる

現代建築で、日本の伝統家屋の良さを取り入れられたら面白そうですよね。

その例が、坂茂さん設計の「9スクエア・グリッドの家」。

見た目はびっくりするくらいモダンですが、障子からヒントを得て、引き戸の開け閉めで、様々な大きさの空間に仕切ることができます。 

9つの小さな部屋に仕切ることもできれば、3つの細長い空間に仕切ることもできます。


コンセプト3. 家具で家を作ってみる

個人宅のスケールだと、家具から出発して設計することもできます。

その例が、藤本壮介さん設計の「House NA」。


敷地がなんと54平米しかないので、壁の代わりにスキップフロアを使っています。

しかも、このスキップフロアや階段が、机や椅子などの家具になったりします。 

こうすることで、家具を極端に減らすと同時に、部屋ではなく使い道が自由な「コーナー」を作り出しました。

それにしても、施主さんはよくOKしてくれましたよね。私だったら、「足首とかケガした時どうしよう」って思わずにはいられません。

ところで、新しい建築って、常識のちょっと外側にありますよね。

だから、ぶっ飛んだ人と友達になっておくと、将来建築家として成功する可能性が高くなるかもしれません


コンセプト4.内と外をあいまいにしてみる

家って最高にプライベートな建築なので、「どのように外を取り込むか」がテーマになります。

例えば、「庭」をさらに壁などで囲って、屋内のようにしている例をちらほら見ます。

例えば、藤本壮介さん設計の「House N」。


箱が三重に重なっているため、どこまで室内で、どこまでが庭か曖昧にしています。

似た手法を使っているのが、前田圭介さん設計の「アトリエビスクドール」。アトリエ兼住居です。

 
3つのリボンが浮遊した形になで、完全に閉じた壁よりも、外と内の境界線をぼやかしています。

 
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