教会&寺院建築の設計手法とコンセプト!卒業設計や課題におすすめ!

 

卒業設計や課題で、寺院&教会を設計する時は、何に気をつければいいのでしょう?

「スピリチュアル」という抽象的なコンセプトを、どういう風に空間にするかがポイントですよね。

では、教会&寺院の設計でよく使われる設計手法を、具体例と一緒に見ていきましょう

コンセプト1:見せ場を設計してみる

教会はスピリチュアルな場所なので、人の心を揺さぶる見せ場があるとポイントが高いです。

その際、見せ場にたどりつく前の空間も設計しましょう。いきなり見せ場を見せると、感動が薄れてしまいますので。

かっこよく言えば、「時間も入れた4次元の建築」を設計するのです。

ヨーロッパの中世の教会でも、この前振りを設計していました。例えば、こちらの断面図をご覧ください↓

1番左の入り口から入ると、まず天井が低い空間があり、その後だんだん天井が高くなって、やっとメインの大空間に入ります。

この天井高の対比によって、大空間を「より明るく大きく」見せているのです。

ちなみに、その後、また天井が低い空間があって、二番目の見せ場に入っていきます。


もう一例が、安藤忠雄さん設計の「頭大仏」。一番の見せ場はもちろん大仏ですが、

遠くから大仏の全体像は見えません。大仏の頭がちょこんと見えるだけです↓



その後、暗く、天井が低いトンネルを通りぬけてから、大仏の全体像が見えるのですが、、、


その時、人は既に大仏の足元に立っていて、大仏の大きさに愕然とさせられます。


「頭大仏」の断面図↓




もう一例は、安藤忠雄氏設計の「光の教会」。礼拝堂にある大きな十字架が最大の見所ですが、



いきなりは見せません。まず、入り口から入ると、中庭があり、そこで礼拝堂に入る心の準備を整えます。

そして、15度角の壁を抜けると、光の十字架が燦然と目前に現れます。
音楽の「イントロ」と「サビ」に似ていますね。


コンセプト2:光にこだわってみる

教会のようなスピリチュアルな空間では、「光の射し込み方」が設計のチャームポイントになります。

「光は空間をドラマチックにする」と、誰か偉い建築家がおっしゃっていました。


先ほど紹介した「光の教会」では、コンクリート壁に切れ込みを入れて十字架を作っていましたよね。


もう一例は、コルビュジェ設計の「ロンシャンの教会」。厚い壁にくり抜かれた小さな窓から、光が束のように射し込みます。



教会ではないけれど、教会に活用できそうなのが、スティーブンホール設計の「RUBENSTEIN COMMONS, INSTITUTE FOR ADVANCED STUDY」。

スティーブンホール本人によるスケッチを見ると、様々な光の入り方を考えています↓

太陽光が直接射し込んだり、屋根に反射させたり、プールの水に反射させてから室内に入れているところもあります。


または、Siamak Hariri設計の「Bahá'í Temple of South Americ」なんかは、光をポワーンと見せるために、わざわざ新しく壁材を開発したくらいです。



ちなみに、この建築は見た目がきれいなだけではありません。9つも入口があり、あらゆる方向から入れる、「開かれた建築」です。

こちらの動画で建築家本人が設計過程を紹介しています。

このように、空間を照らす光の種類はたくさんありますので、意識的に選んでみるといいでしょう。


コンセプト3:大自然と合体させてみる

大自然を見ると、「人間がちっぽけな存在に思えて、悩みが吹っ飛ぶ」という体験談を聞いたことありません?

大自然にはそういうパワーがあるのです。

安藤忠雄さんも光の教会、水の教会、風の教会という、自然を使った「教会三部作」を設計しています。


もう一例は、フィンランドの「テンペリアウキオ教会(Temppeliaukio Church)」。なんと、岩をくり抜いてできた教会です!

洞窟みたいな空間をくぐりぬけて中に入ると、なんということでしょう!

中は天然の岩肌がむき出しになっているのです。天まどから射し込む日光がこの岩肌にあたり、なんとも言えない表情を作っています。



コンセプト4:簡単な幾何学図形で空間を作ってみる

2000年くらい前の建築は幾何学図形が多用されていました。正円、正方形、三角、十字架などの図形のことです。

例えば、パルテノン神殿の断面図には、正円がすっぽりはまります↓

平面図も幾何学図形を組み合わせたものが多いですよね↓

そのためか、今でも幾何学図形を多用した建築は、「正統派」とか、「クラシック」という印象を与えてくれます。

安藤忠雄さんも幾何学図形をよく使います:


なので、原点に戻って、幾何学図形を組み合わせて神聖な教会を作ってみるのはどうでしょう?
 
Copyright ©