敷地が自然や森にある建築の設計方法。敷地との呼応の仕方

 
緑豊かな敷地や、森にある建築はどのように設計すればいいのでしょうか。

代表的な手法を事例と共に紹介しますね。

手法1:自然と建築の中間領域を作ってみる

建築に、外でもなく、中でもない「中間領域」を作ることで、入りやすいうえ、「開放的だ」と思える空間を作ってみるのはどうでしょう?

例えば、藤本壮介さん設計の「House of Hungarian Music」。音楽の博物館&学校です。

大きく突き出したキャノピーによって、巨大な半屋外空間を作り出しています。
天井に開けられた穴から、日光が木漏れ日のようにこぼれ落ちるのが美しいですね。

また、建築の周りの樹木が建築を隠しているため、「森の中を歩いていたら、いつの間にか建物に入っていた!」という感覚が味わえます。


もう一例は、同じく藤本壮介さん設計の「ポリテクニークスクールラーニングセンター」。

平面図から分かるように、敷地の木々が建築内にまで入り込んでいます。


樹木に面した側のファサードは、とても軽いカーテンウォールにすることで、外の中の境目をぼやかしています。

ちなみに、木々の中には階段が設計されており、そこはインフォーマルな学習スペースや、ミーティングスペースになったりします。


手法2:透過性がある建築を設計してみる

建築ができると、自然が遮られて、景色が悪くなったりしますが、その景色をなるべく妨げないようにするのです。

一つの方法が、建築を地面から浮かせてみること。例えば、山水秀建築事務所設計の「上海華鑫ビジネスセンター」。

建築を浮かせることで、視線の通り道を作っています。


建物に「切れ込み」を入れてもいいでしょう。


手法3:建築を一部地下に埋めてみる

先ほど紹介した「House of Hungarian Music」の断面図を見てください↓

けっこうな部分を地下に埋めていますね。こうすることで、自然をできるだけ妨げないようにしているのです。

全部埋めちゃうと、「何も設計していない」と思われるので、地上部分に何を作るかも腕の見せ所です。
 
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