建築学生のための卒業設計のテーマの見つけ方

 

これは、「卒業設計のテーマが見つからない?」と、焦っている建築学生のための記事です。

「卒業設計は建築学科の集大成」だと思って、「自己分析」をしてテーマを探す方もいますが、力みすぎていませんか?

建築は、40代でやっと少し成功を収める分野なので、卒計は小さな通過点に過ぎません

ドライに、普通の課題通りに進めればいいのです。

もちろん、「長年温めてきたテーマがある」のが理想ですが、そうでない方でも、この記事でテーマが決まればと思います。



1.テーマではなく、機能で選ぶ

4年生になっても、設計テーマが見つからない方は、そもそも「テーマ」に興味がないのだと思います。

それよりも、「住宅を設計したい!」、「学校を設計したい!」など、機能に興味があるのでは?

それが普通です。私達は建築学科を目指したのであって、社会学部ではないので。

それなら、機能を先に決めちゃえばいいのです。卒計って、半年〜1年もかかるわけですから、好きな機能でないと、のちに確実に辛くなります。


また、機能を選ぶ時に、就職先を意識すると良いでしょう。

志望する就職先のホームページで、「過去の実績」を見てみて、機能とスケールが同じくらいの建築を卒計で設計してください

つまり、組織系事務所や、ゼネコンに就職したい方は、個人住宅は絶対に避けて、オフィスや文化センターなどの建築を作りましょう。

この方が、面接でポートフォリオを見せた時に、「この子はうちの会社向きだ!」と思ってもらえます。

私の同級生を見ても、学校での評価よりも、会社の事業と合致した卒業設計をした人の方が、希望通りの就職ができています。



2.機能が決まったら、テーマはほぼ決まる

機能が決まったら、テーマはほぼ決まります

図書館を設計したかったら、「図書館の再定義」や、「新しい図書館を考える」があなたのテーマです。
オフィスを設計したかったら、「オフィスの再定義」があなたのテーマです。

もちろん、優等生の回答ではありません。

しかし、そもそも優等生はテーマ探しで困りませんので、ここは諦めて、早めに空間作りに移ってください

私たちは建築学科なので、結局は空間が勝負なのです。



3.テーマが決まったら、すぐに空間のスタディ模型を大量に作る

テーマが決まったら、すぐに空間にする作業に取り掛かりましょう。テーマがゆるい分、ここで頑張って、大量にスタディ模型を作るのです。

こちらの動画のように、一流建築家でさえ、これだけスタディ模型を作っているわけですから、素人がいきなり正解にたどり着くわけがありません。

テーマを空間にするのは、いくつか方法がありますので、また別の記事で紹介しますね。




4.エスキスでは、テーマと空間をセットで見せる

卒業設計では、何回かエスキスすることになります。

テーマがゆるい分、スタディ模型をセットで見せるようにしてください。

その方が、やる気をアピールできますし、同級生より早く前に進めます。

過去記事「エスキスの効果的な進め方」でも紹介したように、エスキスで出す内容が少ないと、先生やTAは「無駄に細かいところ」まで指摘してしまったり、「全否定」してしまって、設計を邪魔することさえあります。

「たくさん話す内容がある状態」にするのが大切です。



5.過去の優秀作品の敷地を参考にしてもよい

ところで、建築新人戦卒業設計日本一決定戦など、過去の優秀な卒業設計も参考になります。

ただし、個人的にはこれらの優秀作品から、テーマは真似しません。

テーマを真似ても、同じ空間を使うわけにはいかないので、空間に転換できず、結局「詰まる」のです。

真似すべきは、敷地です。

敷地が一緒でも、文句は言われませんし、敷地分析が済んでいるので、節約した時間を設計に当てられます。

 
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