今日は、学校の課題や卒業設計を迎える皆さんに、参考にしてほしい、図書館建築を紹介します。
新たな本との関わり方を提案していたり、形態が斬新だったりする建築を選びました。
図書館場合、
図書館だとは限りません。
建築の参考事例は、機能が同じでなくてもかまわないのです。それよりも、スケールが同じだったり、使用者に同じ気持ちを与える建築を選びましょう。
コンセプト1. 階と階の隔たりを打破してみる
普通、図書館は階によって分断されています。しかし、知識に境界はありません。というか、この境界を打破した時に、リノベーションが起きるのです。
そのため、図書館建築でも、「いかに上下階をつなげるか」ことが大きなテーマになります。
一つの方法が、スロープを使うこと。有名なのが、OMA設計の「Jussieu Library」。
スロープをふんだんに使った、1階から最上階までひとつながりになった建築です。
残念ながら、実際には建てられませんでしたが、模型写真や、ファン(?)が作ったCGが見られます↓
または、「台中メトロポリタンオペラハウス」のように、空気、風が自由に通り、人のつながりも感じられる建築でもいいでしょう。
コンセプト2.書庫で地形を作り、その上に眺めがいい読書空間をつくってみる
建築には、人々が主に利用する「表方空間」と、それをサポートする「裏方空間」が存在します。図書館場合、
表方空間=本を読むスペース、勉強スペース、サービスカウンターなど
裏方空間=書庫、事務室、搬送経路など。
裏方空間=書庫、事務室、搬送経路など。
図書館には、この裏方空間が大量に存在します。
なので、裏方空間で地形を作って、その上に眺めが良い「読書空間」を作ってみてはいかが?
なので、裏方空間で地形を作って、その上に眺めが良い「読書空間」を作ってみてはいかが?
このコンセプトを使った建築が、BIG設計の「Mountain」。
駐車場で山の斜面のような地形を作ってから、住宅をその上に置くことで、眺めが良い住宅ができました。
住宅ですが、建築の参考事例は機能が同じでなくてもかまいません。
住宅ですが、建築の参考事例は機能が同じでなくてもかまいません。
コンセプト3. 高層化してみる
図書館って、敷地いっぱいに横に平べったく建てるのが普通ですよね。それをあえて高層化してみるのです。ただし、ちゃんとした理由が必要です。
その例が、スティーブンホール設計の「Huters Point Library」。
平屋でもいいくらい敷地が広いですが、あえて4階建てにしています。
こうしたのは、「市民に、マンハッタンの高層マンションに住む金持ちにしか見られない景色をプレゼントしたい」からだそうです。
断面図↓
コンセプト4.都市からアクセスできる図書館を作ってみる
図書館って、静かにしないといけないため、入るのに、緊張してしまう方もいるのでは?
そうでない、もっと自由な図書館を目指したのが、フランスの「Media Library in Thionville」です。
図書館に入らなくても、屋上に自転車で行けたり、ピクニックができるようになっています。
ちなみに、図書館内には、様々な椅子が置かれ、寝ながら、半座りなど、好きな姿勢で勉強できます。
また、「泡」に見立てた防音室もあり、中で楽器を弾いたり、レクチャーができるようになっています。
コンセプト5.本棚がない図書館を作ってみる
ネットでなんでも見つかる時代、実物の本は本当に必要なのでしょうか?
お金も維持費もかかる図書館には、ネットにはできない、もっと新しい役割があるべきではないでしょうか?
Snøhetta設計の「Temple University/Charles Library」が、まさに一つの答えを提供してくれています。
ここでは、通常の図書館のような「本棚」はほとんど見当たりません。
200万冊もの蔵書は、倉庫に保存されており、使用者がパソコンで書名を入力すれば、数分以内に自動で運ばれてくる仕組みです。
そのため、平面の家具の配置も独特↓
これによって、より多くの勉強スペースやミーティングスペースが作れるうえ、3Dプリンターなどの、ハイテク機器を利用するスペースもできました。
いかがでしたか? ちなみに、こちらの記事で、図書館の優秀卒業設計を紹介しています。ちょっと変わったプレゼンをしているので、ぜひ。
また、他の機能の建築についても、コンセプトをまとめています: